Archive for the ‘東大日本史’ Category
千年前は、女性ばかりが活躍した時代でした
問題を出しておいて、解答例も示さないまま、忘れそうになっていました。
答えを考えた人に失礼なので、解答の骨子だけを示しておきます。もちろん、論述問題ですから、多様な答えがあるでしょう。参考までに示しておきます。念のために、問題をもう一度。
(問題)10世紀から11世紀にかけて、文学史上、後に古典とされる文学作品が多く現れるが、その書き手の多くが女性である。文学史上、古典とされる作品の書き手として、この時期にのみ、突出して女性の活躍が目立つのはなぜか。政治的・社会的な背景にも留意して、150字以内で説明しなさい。
(ポイント)
①なぜ、女性がこの時期、文学史上で活躍したのか。ということは、逆に言えば男子があまり活躍しないのはなぜかということです。
②政治的な背景・社会的な背景に留意する。この時期、いわゆる「摂関政治」の時期であることを忘れないこと。
(解答の骨子)
ⅰ 「平かな」が自由な表現を可能にした。ヤマト言葉(日本語)を表現できるようになった。漢字仮名混じりの、現在の表現形式が始まったということです。『源氏物語』を「万葉がな」や「漢文」で書くことは困難だったといった意味です。
ⅱ(政治的な背景)外戚関係が重視されたこの時期(摂関政治の時期)には貴族層はその女子(娘)の教育に力を注いだ。
ⅲ ⅱのために、有能な女房たちが高級貴族の女子に仕えることとなった。
要するに、摂関家などの娘の教育係、世話係として優秀な女房たちが集められたということです。
ⅳ (具体的には)摂関家などに奉仕する受領層(中流貴族)の娘たちが女房として集められた。
ⅴ 経済的・時間的な余裕を与えられた、経験豊かで、才能のある女房たちが、ⅰでみた自由な表現手段を得て、物語、随筆などを創出していった。
ざっと挙げてみると、こんなところでしょうか? 支配者層、男性の貴族たちは、まだまだ漢文の世界に生きていたわけです。平仮名が女性層にまずは広がっていったわけです。また、女房たちは、父の受領としての苦労も、民衆の世界の実情にも通じていたでしょう。そのような環境が、この時期にのみ、女性が文学の担い手、物語や随筆の書き手したのです。
海賊問題の解決法と東大2次日本史
前回の「平安時代」の「海賊」に関する問題の解答例を示しておきます。もちろん、私案です。論述問題は、それこそ十人十色。納得のいかない人もいるでしょうが、とりあえずの解答例です。
(解答例)
律令税制の変質と陸路による輸送体系の衰退にともない、西日本の
公領・荘園から京に送られる官物、あるいは貿易品などは、大量輸
送に適した瀬戸内海水運によることとなった。そして、その実務は
在庁官人など現地の有力者が担ったが、彼らの多くは武士化し、海
賊化することも多く、中央政府がこれを鎮圧するのは困難だった。
(ポイント)
1 律令税制・交通体系の変質
2 受領と国衙の在庁官人
3 官物・年貢・私財、貿易品(日宋貿易)などの西日本から京への物資輸送
4 大量の輸送に適した瀬戸内海水運の発達
5 武士化した在庁官人などの存在
どうでしょうか。実際には、藤原純友の乱・平氏政権をヒントにすると書きやすいでしょう。もちろん、 10世紀の大転換・武士の台頭をベースに論を組み立てていくことです。
