Archive for 3 月, 2009
日本力 地頭力
WBCの日本チーム、サムライたちを率いた原監督が、その勝利を「日本力」によるものだとコメントし、チッラっと見たテレビで、色紙かなにかに「日本力」とかいて首相に渡していたようでした。珍しい表現だと思ったら、「日本力」という本が出ていたようです。読んでないので、コメントするべきではないのですが、、要するに、日本の優れた技術などを見直そうという内容のようです。日本経済の弱点を指摘するより、その素晴らしさを強調するものらしいのです。
それは、それとして、気になるのは「日本力」というネーミングです。そんな言葉を作らなくてもいいような気がするのですが、どうでしょうか。アメリカには「アメリカ力」、韓国には「韓国力」がきっとあるに違いないのですが、なぜ、「日本」と「力」を結びつけて新しい表現をひねり出さなければならないのかが、合点がいかないのです。原監督によれば、「日本力」とは「気力と粘り」だそうです(直接聞いたわけではありません。間違っていたら謝ります)。「サムライニッポン」「サムライジャパン」は気力と粘りで優勝した。見ていて、みんなそれに感動した。しかし、一人一人の気力と粘りを「日本力」とまとめるところが・・・・・・・・・なのです。
「力」という字が、「刀」に見えたりします。「日本力」の「力」の出っ張り?が見えなくて、「日本刀」に見えてしまうのは、老眼のせいばかりとは言えません。
(架空中継)バットに代えて、イチローが日本刀をもってバッターボックスへ! 「2ストライク」。
「打ちました、真っ二つになったボールはそのままキャッチャーミットへ」「日本刀の切れ味にどよめきが」「みごとな三振です」・・・・・などと、妄想の世界へいってしまいます。
そこで、今度は「○○力」が気になりだしたのです。そんなところへ飛び込んできたのが、「地頭頭」という文字でした。
「地頭力」という言葉に出くわしたのです。その話は、次回にしましょう。
桜と武士道
ここ4日ほど、車でお堀端を通っていました。国立劇場の前の桜が開花して、歌舞伎鑑賞に来た人が写真を撮っていました。
皇居周辺の桜は、寒い日が続いたためか、まだまだチラホラの状態が続いたので、国立の前が目立ったのです。
ところで、桜といえば、日本を象徴する花ということになっていますが、昔から「花」といえば「桜」というわけではなかったことはよく知られているところです。古文を習った人なら、「花」といえば古くは「梅」だったと習ったでしょう。
奈良時代までは、「花」といえば「梅」。『万葉集』に「花」とあったら「梅」だった。それが、平安時代以降、主役交代で「花」は「桜」となったわけです。
江戸時代には「花は桜木、人は武士」といった表現が確立したそうです。本居宣長が桜は日本人の精神を象徴するものだと言い、明治になると新渡戸稲造はその著『武士道』で「武士道とは日本の象徴たる桜の木のようなもの」と主張するのです。
子どもの素直な質問を1つ。
本居宣長が、奈良時代に生きていたら、「梅」こそが「日本人の精神を象徴するものだ」と言ったのですか?
もし、今でも「花」といったら「梅」だったら、「武士道とは日本の象徴たる梅の木のようなもの」と言ったのでしょうか?
桜のように、「いさぎよく」「パッと散らない」梅では武士道にはならないので困るんじゃないですか。
先日、あるテレビ番組で、「今の日本に何が必要か?」という司会者の問いかけに、ある出演者が、
「武士道です」と、自信に満ちた顔で答えた時には「唖然としました」。
意味不明の自信に満ちた断言ほど扱いにくいものはありません。「唖然」という言葉は、このような人物の発言に対して用意されていに違いないと確信しました。
たとえば「伝統を守れ」「日本精神を涵養せよ」などという表現は、よほど丁寧に説明してもらわないと「唖然」とする以外ないのです。単純に「日本精神」が「桜」や「武士道」だとしたら、奈良時代や万葉集の精神はどこへ行ってしまうのでしょうか。平安時代以前の精神や感性は「日本精神」ではないという位置づけになるのではありませんか。
どうも、前回の「サムライジャパン」の違和感を引きずってしまいました。「桜」のせいで。
サムライジャパン
WBCの日本優勝の話題で、どこもかしこも盛り上がっています。もちろん、ずっとテレビの前に釘付け状態でした。
まあ、その話題はもう飽和状態なので、やめておきます。
ただ、少々、引っかかっているとことがあるので、それだけを書いておくことにします。
それは、「サムライジャパン」という日本チームの愛称です。「侍」と「ジャパン」を結びつけて、武士の魂をもった選手たちといった意味なのでしょう。そう言えば、イチローがバッターボックスに入ってとる仕草、あの、最初にバットをたてて構えるスタイル。そのバットの位置が、国定忠次の「赤城の山も今宵限りか・・・」という決め台詞の時の刀の位置によく似ている。そんなことは、まあいいのですが、「サムライジャパン」という日本語と英語を結びつける造語がどうも気になります。そんな造語は、いくらでもあるのですが、やはり気になる。
そのうち、「サムライニッポン」という言葉がふと浮かんできました。そして、「どこかで聞いたことがあるんじゃないか?」。「侍ニッポン」?。
まもなく思い出しました。昔もこの「侍ニッポン」という表現に、なにかひっかかりを感じていたことを思い出したのです。すると、音楽が聞こえて来たのです。歌詞も思い出しました。「侍ニッポン」という歌があった。
「人を斬るのが侍ならば 恋の未練がなぜ切れぬ」「昨日勤王 明日は佐幕 その日その日の出来心」
人を斬ることを職業とする侍が、なぜ恋に悩むのか? 昨日(きのう)は「勤王」、すなわち幕末の尊王。ところが、明日は「佐幕」、すなわち親幕府派。今風にいえば、昨日までは左翼、明日は右翼。思想なんて、所詮、「出来心」だというフレーズも思い出したのです。
ネットで調べてすぐわかりました。「侍ニッポン」は映画のヒット作で、「人を斬るのが侍ならば・・」はその主題曲でした。作詞は西条八十。主人公は井伊直弼の「御落胤」という設定の小説の映画化でした。
1931年から戦後まで5回も映画化されている。主役も最初の大河内伝次郎から、阪東妻三郎(「ばんつま」)、そして、田村高広などなど。坂妻は日本最初の映画の大スター。田村高広はその長男です。次男が、田村正和、三男が田村亮。・・・・・などなど、わかっていいく内に、やがて、なぜ、WBCの日本チームの選手を「侍」と表現することに何か違和感が生じた、何か「ひっかかる」感じがした理由が、少しわかったような気がしてきたのです。
この主人公は、映画では、情けない、恋に悩む「侍」だったのです。決して、ヒーローではない。思想も日によって変わるような人物です。そもそも、ネーミングは小説、映画の題名からの盗作じゃないの?という素朴な疑問も湧いてきます。
「サムライジャパン」「侍ニッポン」の「侍」を、強い「日本」男児というイメージとして採用したことに違和感が生じたわけです。「侍」を「かっこいい、強い人」とイメージするのはもちろん自由ですが、「侍」は、正に、「人を斬る」ことを本分とする人びとでもあるわけですから、その単純な感覚にはやはり?マークをつけたくなるのです。
しかし、原爆を落とされるまでは「鬼畜米英」でアメリカを鬼だと言っていたのが、マッカーサーを旗を振って大歓迎した人もたくさんいたわけですから、「昨日勤王」を「昨日反米」、「明日は佐幕」を「明日は親米」と置き換えれば、「侍ジャパン」の「侍」も、「侍ニッポン」の「侍」も同じような「侍」ということで納得しておけばよいのでしょうか。
春期講習会
明日から、春期講習会。まずは横浜校・麹町校の早慶大日本史から始まります。
春から、何かをおぼえようというわけではありません。どんなにがんばっても4月中には忘れてしまいます。それより、日本史の勉強法を具体的に示しながら、問題のタイプ別演習を行ないます。
第1日は教科書の読み方と「正誤問題」演習です。
正誤問題を解くときの、大原則は、「明確な誤りを発見する」こと。正しい文章を探すことは困難です。「これは絶対正しい」と判定できることなど、めったにない。明確な誤りを見つけられず、かといって正しいとも断定できない。それが普通でしょう。迷わず、△。ともかく、明確な×を探していく。
そこで、明確な間違いを発見することができる教科書の読み方が求められるというわけです。
4月から、本格的に受験勉強を始める際にも、問題のタイプ別を意識した学習は是非心がけてほしいところです。
大人のウソにだまされない!
未曾有の入試問題
大磯の旧吉田茂邸が全焼。吉田茂が首相だったころ、3年ほど大磯に住んでいたのですが、なにしろ小学校1〜3年生だったので何もおぼえていませんが、毎日、近所の吉田さんというオジさんが、総理大臣で、東京に出勤していたといった記憶ぐらいは残っています。テレビで、そのころの吉田茂の大磯での写真が紹介されていて、吉田首相のうしろに、孫、現総理大臣の麻生さんが写っていました。これが、なかなか可愛い。
ところで、麻生さんと言えば、巷間、「漢字の読めない人」として注目される首相ということになっていますが、漢字博士みたいな人を除いて、大抵の大人は、「実は、自分も何か間違っておぼえてしまった読みがあるかもしれない・・・・」と一抹の不安が脳裏をよぎったにちがいありません。麻生さんと同じように、まわりの誰もそれを注意してくれない。これはもっと怖い。そんな人物に、自分もなっていたらどうしよう。などと、思ったでしょう。
ところで、その読み違いの例の一番有名なのが「未曾有」でした。年末の授業のネタで、「来年の**大学の予想問題は漢字の読みで未曾有だ」などと言ってしまったような気がするのです。ところが、先日、受験の終わった昨年度の生徒とあったら、「早稲田の政経で「未曾有」の読みがでたので、思わずプッと笑って注意されてしまった」というのです。わざわざ「未曾有」を出すとは・・・・・。と思って、すぐに早稲田・政経の問題を見たら、本当に出ていました。
もし、解答欄に「みぞうゆう」と書いたらどうなるだろう。漢字が読めないどころか、テレビニュースも見てないということで、それだけで不合格か? などと、その生徒としばらく盛り上がってしまいました。
ブログを始めます
ブログを始めることにしました。日本史にかかわりのある話を、なんでも書いていこうと思いますが、主として、受験にかかわりのある話題が中心です。日頃、河合塾の校舎で直接、私の授業をとってくれている人。『実況中継』や『結論・日本史』をはじめとする参考書や問題集を使っていただいている方を想定して書いていこうと思います。直接、学習に役立つ情報だけではなく、参考書や授業では書けなかったり、話す余裕のなかった話を、雑談もはさんで、書いていこうと思います。
桜も咲き始めました。もうすぐ4月。いっしょに、できるだけ楽しく日本史の学習をスタートさせましょう。
